• Al-Kamar - Abstract Spread

日本産ポストブラックメタル、2011年CDR。
自主制作としてリリースされた。


儚く悲しげに掻き鳴らされるトレモロ・リフ、
アルペジオ、緩急つけて打ち込まれるドラム、
ジメジメ陰鬱としたガナリVo、
同じく儚げな初音ミク(!)クリーンVo、
ピアノ・キーボード等が絡む。


初音ミクVoを参加させるという新しいスタイルで、
神秘的部分を大事にするTrue Black()勢に刺されそうな感じだが、
初音ミクを除いたとしても、フランス産的陰鬱・儚さと、
昨今の陰鬱シューゲイザーブラック系の音を合わせたかのような作品となっており、
奇だけを衒っている感はせず素敵。


その初音ミク機械的なVoではあるものの、
味付け程度として使われているため違和感は特に無し。
この手の人工Voは竹村延和作品で聴きなれているというのもあるか
(あちらはさらに(意図的で)機械的なプログラムVoだった)。
ドラムも打込みのようだが、チープな感じはせず、
まったく違和感が無かった。


人間Voもなかなか病んでおり、Manierisme、Mutiilation、
Eikenskadenあたりを彷彿とさせるだろうか。
トータルで音に近いのは、あちらはシューゲイザー的要素は薄いものの、
Eikenskaden/MysticForest辺りかもしれない。


そんなわけで、柔軟な頭を持ち初音ミクに抵抗がなく、
Eikenskaden/MysticForest辺りのフランス産ブラックメタルが好みであれば、
本作も楽しめるのではなかろうか。