• Xasthur - All Reflections Drained

アメリカ産鬱系ブラックメタル、2009年作。
写真は日本盤で、2枚組(2枚目は未発表曲)の構成となっている。
M.H.なる人物がアンビエント/キーボード、Voで参加。
(元Chaos Moon、Noctisのメンバーらしい)


陰鬱に、ひたすら暗く奏でられるアルペジオトレモロ・リフ、
スロー・ミドル中心にボコボコ叩かれるドラム(時折疾走するが速さを感じない)、
薄ら美しい・薄気味悪い瘴気漂うキーボード・ピアノ、チェロ、
遠くから響くガナリ・薄気味悪い語りVo(Malefic及びMH)等が絡む。


前作同様、生々しいドラムを取り入れた鬱ブラックとなっている。
全体に漂うドンヨリとした雰囲気はXasthurの個性と言え、
聴き終える頃には気分が沈みこむこと受けあい。
また、曲の終わりにはダークアンビエント的インストを
絡めるようになり、暗さ分増量。


大きな変化としては、絶叫Voをかなり引っ込ませた所か。
今までも曲に同化するような音作りでVoを絡ませていたが、
本作はさらに聴き取りにくく、ザラついたギターの後方で
うっすら聴き取れるような状態のものが多い。(Vo自体入っていないものもある。)
個人的にこの変化は、暗闇の中より死の誘惑を囁きかける
死神と言った趣があり、曲と合っている感じはした。
特に、本作より参加したM.H.なる人物の
薄気味の悪く、適度に震えた語りを聴かせる
「All Reflections Drained」等は暗さの極みと言った感じで素敵。
ただしこのVo後退・交代は、Maleficの絶叫Voが好みな方には残念かもしれない。


2枚目(Total:33分58秒)の未発表曲に関しても、本編と同じく、
ゆったりと気の滅入るインスト部分多めのブラックメタル
こちらでもM.H.の暗く語られるVoが良い味を出しいる、
(『Subliminal Genocide』と同名曲の別バージョン)
14分にも及ぶ大作「Trauma will always linger」における
Malfeic(絶叫)、M.H(語り)の絡みは特に素晴らしい。


Vo部分に変化が見られるものの、前作『Defective Epitaph』の音や
Nortt、Elysian Blaze等が好みであれば、本作も楽しめるのではなかろうか。
今後、このM.Hが正規メンバー、または引き続きゲストで参加するのか、
それともまたMaleficの孤独バンドになるのかも気になるところ。


日本盤のみ未発表曲収録2枚組となっているので、
購入する場合は、日本盤の方がいいかもしれない。

オール・リフレクションズ・ドレインド

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